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INTERVIEW 01

自動車産業という
枠組みを超えた挑戦 
新産業の創設を目指して

今日に至るまでに生じた課題、
エースタートのサポート
  • 渡邊香港市場の上場企業と資本提携するという前例のない決着となったわけですけど、前例のないことにチャレンジするということについて、どんな想いでその決断をされましたか。

  • 小間不安ももちろんありましたが、正直わくわく感のほうが大きかったですね。決して東証への上場をネガティブに考えて香港のスキームへ流れたのではなく、本当に選択肢の一つとして見ていけた結果ではないかなと思っています。

  • 渡邊そうですね。僕も選択肢としての香港スキームには賛同していました。ただ、難易度が高いというのはわかっていたので、今回実現されたことは、凄い!というのが正直な感想です。各国の習慣やルールが異なり、なかなか上手くいかなかったりもするので、本当に頭が下がります。

  • 小間すごく意外だったのが、渡邊さんは二度の国内IPOと東証一部へ鞍替えした経験をお持ちだったので、今回のようなスキームは今までのご経験とは違う範囲になるのかなと思っていたのですが、きちんとリスクを示していただき、色々な選択肢の中でこのスキームをちゃんと見てくださったところが驚きでした。他のVCの皆さんも正しい大人の目線、投資家の目線で導いてくれましたが、渡邊さんはまず、経営者である私の意見を全部尊重した上で、見落としている部分をそっと教えてくれるので、私としても自信を持って進めることができました。頼れる兄貴という感じで、色々ご指導いただけました。本当にありがとうございました。

  • 渡邊僕も過去に海外でのビジネス経験や、韓国、香港への上場の可能性を検討したこともあったので、少しはそのスキームに対して理解があったのかもしれません。僕も事業家として、あらゆる可能性を考えてきたので、本当に小間さんの気持ちがよくわかるんですよね。あの流れであれば、僕が小間さんの立場でもそこにかけてみたいとなっていたと思います。同時にVCの立場として、小間さんのジャッジは僕も勉強になりました。

これからのGLMの展望
  • 小間GLMは元々、新産業を創造するプラットフォーマーになるというテーマで、3つのステップで新産業を創っていくことに挑戦しています。

    まず、最初のステップではきちんとしたブランドをつくるということを実行しました。部品メーカーが「本当に車を作れるの?」と、恐る恐る付き合っていただいていた状況から、トミーカイラというブランドを継承し、実際に量産ができるまで様々な機会に恵まれて、我々のものづくりに信頼を得ることができました。これによって、世界中の良質なサプライヤーから新技術を提供してもらえるようになりました。

    小間 裕康

    小間次に、これから香港との連携によってメインターゲットである中国市場に大きく展開しようとしていますが、ここで確実に事業化したいのが2つめのステップであるプラットフォーム事業です。GLMがGLMG4という次期モデルを発表したときに、我々のつくるプラットフォームを購入したいというお客さんが現れるようになりました。このプラットフォームを、中国を中心とする新興国の国産の自動車メーカーに提供していきたいと思っています。このプラットフォーム事業の確立によって大量生産のノウハウがもたらされ、次の新産業の創造へと歩みを進められると思っています。

    現在、ライドシェア、カーシェア、物流会社などが自社のサービスにデバイスとして車を使いたいというニーズがあり、自社のオリジナルの仕様で、ばらつきなく、一台から数十万台まで作れるような会社が求められていると考えています。我々の3つめのステップは、プラットフォーマーとして、そういった会社にデバイスとしての車を提供して、自動車産業という枠組を超えた新産業を創造したいと考えています。

  • 渡邊素晴らしいですね。GLM以外に日本にはそれができるベンチャー企業はないので、本当に楽しみです。

    僕はいつも思うんですけど、小間さんはいい意味で妄想家ですよね。先のことよりもまずは足元をと言う方が多いですが、ことごとく自分の描いた未来に向かって進んでいますよね。なので、現実とのギャップがあった時でも、悲観的にならずにずっとワクワクして前を向いているので、本当に小間さんの代わりになれる人はいないなと思います。グローバル企業になっても、守りに入ったり、周りの人の意見に振り回されたりせずに、ずっと今のスタンスを続けて欲しいと思います。

  • 小間GLMはわくわくするものづくりだけをやっていくというポリシーのもと事業を進めています。企業理念にも、自由を生み出す場所であり続けると掲げています。一度きりの自由というのはすごく無責任なことだと思いますが、自由をし続けることは責任であると考えています。一度自由をさせてもらった相手に対し、一度きりでなくきちんとその責任を果たした時に、もっと大きな自由を与えてくれると思っています。この責任を一つ一つこなしていけることができれば、日本のわくわくしたものづくりを世界にどんどん発信できる企業の一つになれるんじゃないかと思っています。

    GLMは非常に良いサポーターに恵まれて進んでこれていると思っています。渡邊さんの経営者としての側面であったり、現在進行形で東証一部へ上がって発展されている経験を、情報として我々に落としてくれるのは、ありえないような良い環境だと感じています。これからも引き続きよろしくお願いします。

  • 渡邊はい、こちらこそよろしくお願いします。僕もこれからのGLMの成長を楽しみにしています。本日はお忙しい中ありがとうございました。

  • GUEST
    GLM株式会社

    代表取締役社長 小間 裕康

    小間 裕康

    2010年、京都大学発のEV(電気自動車)メーカーGLMを設立。世界でも極めてまれなオリジナル設計による自動車の量産化に成功し、国内外から高い評価を得ている。2015年には、日本初となるスポーツEVの「トミーカイラZZ」を量産・販売。そして現在は次世代EVスーパーカー「GLM G4」の開発を進めている。G4は2016年のパリモーターショーでワールドプレミアを果たすと、その斬新なコンセプトで大きな話題となった。また自社開発のモジュール化したユニットや、開発ノウハウ、そして自動車関連企業・機関との協力関係等を用いて、他社の自動車開発を受託する開発プラットフォーム事業も展開しており、世界から注目を集めている。

  • INTERVIEWER
    株式会社エースタート

    代表取締役CEO 渡邊 一正

    渡邊 一正

    京都大学卒業後、リクルートグループに入社し、主に人材紹介部門(現リクルート)でキャリアを積みながら、独学でベンチャーのIPO支援等を行う。 退職後、ネクストジャパンに経営参画し、CFOとして2004年に株式公開を実現。上場後、代表取締役社長に就任。2007年に退任し、ベンチャーへのコンサルティングや投資を行う。 2010年、ライドオンエクスプレスのCFOに就任。2013年に自身二度目の株式公開を経て、その後東証一部(現東証プライム市場)へ上場。 2015年、エースタートを設立、代表取締役 CEOに就任。同年より、Tech系ベンチャーファンドの運用を開始。2019年には、日本初の「宇宙ベンチャー特化型投資ファンド」をローンチ。起業家、上場企業社長、2度のIPOを牽引したCFO、投資家など、多彩な経験を併せ持つ事業家。